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処方ＤＢ【検索目次】
【方源】『金匱要略』
【組成】干姜・人参 1 半夏 2
【主治】妊娠嘔吐が止まらないもの
【方論選録】『金匱玉函経二注』：妊娠後２ケ月すると胚から胎へと変わる。
濁気が上衝するようになり、中焦がその逆を抑えられないと
遂には痰飲が湧き嘔吐が止まらなくなる。
中寒の状態が起こるから干姜で寒気を止め、人参で虚を補い、
生姜・半夏で痰を治し、逆を散らす。
『金匱要略浅注』：半夏は人参を得ると胎の邪魔になるどころか 却って胎を固める働きをする。
『医宗金鑑』：悪阻とはもともと胃中に寒飲があって胎も飲食も
阻むものである。
干姜は寒を去り、半夏は嘔を止める。
悪阻の人は日々の嘔吐により必ず胃気を傷る、故に人参で助ける。
【臨床挙例】 ●妊娠嘔吐『銭伯（火宣）婦科医案』：
郭さんは妊娠一ヵ月半で黄水を吐き、水も食べ物も入らなくなった。
頭暈・大便乾燥・心中煩熱・口乾口苦・熱い飲み物を飲みたがる・胃が痛み・少腹は脹墜し・舌苔は淡黄膩で根部に微垢あり・脈は左が細弦数、右が滑数。
病因は痰湿が中阻していて胃濁が下降出来ないものである。
治療は益気温中・化痰降濁法をとる。
党参・半夏 3 干姜 6 研末とし 1.5g／一回 生姜汁を４滴加えて徐々に服用する。
●産後嘔吐『橘窓書影』：
二十歳ばかりの婦人、産後胃中が不和で時々飲食を吐き、ひどく痩せてしまった。
とうとうある日、大嘔吐を起こしてからは薬も食べ物も一切入らなくなった。
脈は微細で四肢は微冷、口は乾燥し冷水を欲する。
私はこれに半夏干姜人参丸料を
煎じて冷まし、少しずつ何回も飲ませた。
三日後に薄い粥を飲ませて胃気は次第に回復していった。
●吐水『橘窓書影』：
４０歳ばかりの女性、かつて吐水の癖があったが、炎暑を経てから病状が
益々ひどくなった。
食べ物は一粒も入らず、痩せて骨ばかり、心中疼熱し、冷水を好む。
私が半夏干姜人参丸料に烏梅丸を兼用させたら嘔吐は直ぐに止まり、
心中の疼熱も日を追って減り、飲食も進むようになって来た。