【方源】『医学衷中参西録』

【組成】白朮・山薬・竜眼肉10

【主治】泄瀉が長く続いて止まらず気血が倶に虚し、
　　　　身体が羸痩衰弱して労病になろうとする時。

【臨床挙例】　久瀉不止

　年齢４０歳ばかりの婦人、初めは心中が発熱して
気分が悪かったのを医師が清火理気の剤を投じたら
とうとう泄瀉が止まらなくなった。
次に他の医師にかかり温補剤を投じられた。
初めはいくらか良かったが、それからいくら飲んでもやはり
泄瀉は止まりません。
一昼夜に四五回あり、かれこれ半年になる。
もはやこれ以上薬はないと諦めているのを私が診ることになった。
脈は濡弱だが弦数の傾向はないからまだ見込みがある。
ただ泄瀉が長引いているので体が弱っており、
虚汗が淋漓として流れ、心中は*征冲し飲食も少ない。
長考の末、補脾に補心腎を兼ねるこの方を与える事にした。
数剤で泄瀉は止まったが汗の方は増えるばかり。
ついに　竜骨・牡蠣を生で６銭　加えたら２剤で汗が止まり、
今度は漫水腫に変わった。

以前から泄瀉の時は小便が短少だったが、
泄瀉が止まってでもやはり少ない。
水気が出路を失い汗となっていたのだろう。
汗が止まるや漫水腫に変わった訳である。
小便を分利する以外には水を出すことは出来ない。
平素から腰の当たりがとても冷えていたから凉薬で利尿することは出来ない。
そこで　＋椒目３銭　として十剤を連服したら癒えた。

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