症例ＤＢ【検索目次】 ；
処方ＤＢ【検索目次】
【方源】『傳青主女科』
【組成】白朮・山薬10 白芍 5 車前子・蒼朮 3
人参 2 甘草 1 陳皮・黒荊芥 0.5 柴胡 0.6
【功用】脾胃之気を大補し、少しく舒肝。
益気健脾 去湿止帯。
【主治】婦人の湿盛火衰・肝鬱気弱により脾土が傷を受け、
湿気下陥して遂に白帯となり、一年中涕唾のような
白い下りものが流れて止まらず、ひどくなると臭いがある。
【臨床挙例】（１）白帯 『福建中医葯』（1986; 4:54）：
林某々、女、３０歳、既婚。１９８４年３月３日初診。
一年ばかり帯下が続きなかなか止まらない。
量が多く、色は白く清稀で臭いがない。
顔色は萎黄で食欲なく便は溏、四肢は困倦し腰がだるくて力がない。
生理の周期はまだきちんとしている。
舌は淡、苔は薄白、脈は濡細。
脾虚不運のため寒湿を帯下する証である。
健脾運中・升陽除湿を治法とする。
党参15 蒼朮・車前子10 白朮・山薬・欠実30
白芍12 柴胡・黒荊芥 5 陳皮 6 炙甘草 3
６剤で白帯は目に見えて減少し食欲が増し、
大便は形を成してきたが腰のだるいのはまだ同じである。
前方＋続断・菟絲子12
９剤を続服して癒えた。
（２）経行泄瀉 『福建中医葯』（1986; 4:54）：
林某々、女、４０歳。１９７０年１０月５日初診。
発病後二年になるが生理の度に腹瀉すること一日３〜４回。
治療を受けているが良くなったり悪くなったりである。
月経の量は多く色は淡、顔色は萎黄でむくんでいる。
食欲はなく疲れやすくて手足がだるい。
帯下は淋漓として下り、腰はだるく背は痛い。
舌は胖で苔は白く、脈は沈緩。
脾腎陽虚で湿濡中焦の証である故、
健脾温腎・調中勝湿を治法とする。
党参12 白朮・山薬30 炙甘草 3 柴胡・黒荊芥 5
陳皮 6 蒼朮・巴戟天・白芍・茯苓10 炒意苡仁15
９剤ののち食欲が増え、帯下も大変少なくなり、
諸症状は癒えてきた。
毎月の生理前の１０日間に上方を６剤服用することにし、
三ヵ月間調治したら癒えた。
（３）慢性肝炎 『吉林中医葯』（1987; 6:27）：
顔某々、男、４６歳。１９８５年５月６日初診。
１９７９年に慢性肝炎と診断され、
数年来の右脇隠痛と食欲不振が治らない。
この半年は更に口が味気なく食べられず、
呼吸が浅く、だるくて寝てばかりいる。
腹脹し、泄瀉が一日に３〜４回ある。
小便の色は淡黄で短少、時々鼻衂があり、
両足踝がやや腫れている。
顔色は青白く、精神はうすぼんやりで痩せ細り、
舌は淡、苔は薄白で潤、脈は虚緩で無力。
ＧＰＴ １８０，ＺＴＴ １８，ＨＢｓＡｇ 陽性。
今までに逍遥散加減を色々と服用したが少しも効果がなかった。
これは久病による脾胃の大虚・運化無力・肝鬱湿滞の証である。
白朮・山薬30 党参・白芍・車前子・白茅根15
蒼朮・鶏内金10 柴胡・陳皮・炙甘草 6 黒荊芥 3
１５剤を服用したら腹脹・鼻衂・浮腫は消失し、
飲食の量が少し増え、大小便は正常となった。
結局本方加減を６０数剤飲んで諸症状は消失した。
１９８５年９月１１日の検査では
ＨＢｓＡｇ 陰性、ＧＰＴ ３２，ＺＴＴ １０。
既に仕事に復帰しており、今に至るも再発はない。