症例ＤＢ【検索目次】 ；
処方ＤＢ【検索目次】
【方源】《温病条辨》巻一。
【異名】銀翹解毒散(《全国中葯成葯処方集》西安方)。
【組成】連翹一両 銀花一兩 苦桔梗六銭 薄荷六銭 竹叶四銭 生甘草五銭 芥穂四銭 淡豆鼓五銭 牛蒡子六銭
【用法】上為散。毎服六銭，鮮葦根湯煎，香気大出，即取服，勿過煮。
肺葯取軽清，過煎則風味厚而入中焦矣。
病重者，約二時一服，日三服，夜一服;
軽者三時一服，日二服，夜一服;
病不解者，作再服。
【功用】(1)《温病条辨》: 辛涼平剤。
(2)《方剤学》:辛涼透表，清熱解表。
【主治】(1)《温病条辨》:
太陰風温、温熱，温疫、冬温，初起但熱不悪寒而渇者。
(2)《福建中医葯》(1964;5:16):
温病範囲症的各種疾病、如急性支気管炎、肺炎、流感、百日咳、
腮腺炎、麻疹、水痘、急性喉頭炎等属外感温邪，有肺衛症者。
【加減】若胸膈悶者，加霍香三銭，鬱金三銭，護壇(にくづき)中;
渇甚者，加花粉;
項腫咽痛者，加馬勃、玄参;
衄者，去芥穂、豆鼓，加白茅根三銭，側柏炭三銭，梔子炭三銭;
咳者，加杏仁利肺気;
二三日病猶在肺，熱漸入里，加細生地、麦冬保津液;
再不解，或小便短者，加知母、黄岑、梔子之苦寒，与麦、地之甘寒，
合化陰気，而治熱淫所勝。
【方論選録】
(1)《温病条辨》:
本方謹遵《内経》"風淫於内，治以辛涼，佐以苦甘;
熱淫於内，治以咸寒，佐以甘苦"之剤。
又宗諭嘉言芳香逐穢之説，用東垣清心涼膈散，辛涼苦甘，病初起，
李東垣の「清心涼膈散」は次ぎの様な組成です。
連翹 黄岑 山梔子 石膏 薄荷 桔梗 甘草
この処方から発展したのが本方です。
中焦の脾胃を害しない様に細心の注意を払っています。たとえば
和剤局方の涼膈散とは異なります。
早々と黄岑などを使うと外邪を中焦に引き込む恐れがあると考えています。
本方が鼻を高くして言うのは「軽以去実」と言う事です。
軽いと言う事が如何に大切な事かを繰り返して述べています。
現代医学の抗生物質や解熱鎮痛剤のあり方と較べて考えさせられます。
加銀花辛涼，芥穂芳香，散熱解毒，牛蒡子辛平潤肺，解熱散結，除風利咽，
皆手太陰葯也。
此方之妙，預護其虚，純然清粛上焦，不犯中下，無開門輯(手へん)盗之弊，
有軽以去実之能，用之得法，自然奏効。
(2)《成方便読》:
銀翹散，治風温温熱，一切四時温邪。
病従外来，初起身熱而渇，不悪寒，邪全在表者。
故以辛涼之剤，軽解上焦。
銀花、連翹、薄荷、荊芥，皆辛涼之品，軽揚解散，清利上焦者也。
豆鼓宣胸化腐，牛蒡利膈情咽，竹叶、芦根清肺胃之熱而下達，
桔梗、甘草解胸膈之結而上行，此准陰呉氏特開客気温邪之一端，実前人所未発耳。
(3)《方剤学》:
温者，火之気也，自口鼻而入，内通於肺，所以説"温邪上受，首先犯肺。"
肺与皮毛相合，所以温病初起，多見発熱頭痛，微悪風寒，汗出不暢或無汗。
肺受温熱之邪，上熏口咽，故口渇，咽痛;
肺失清粛，故咳嗽。
治当辛涼解表，透邪泄肺，使熱清毒解。
呉氏宗《素問・至真要大論》:
"風淫於内，治以辛涼，佐以苦甘”之訓，綜合前人治温之意，
用銀花、連翹為君葯，既有辛涼透邪潜熱之効，又具芳香避穢解毒之功;
臣葯有二，即是辛温的荊芥穂、豆鼓，助君葯開皮毛而逐邪;
桔梗宣肺利咽，甘草清熱解毒，竹葉清上焦熱，芦根清熱生津，皆是佐、使葯。
本方特点有二，一是芳香避穢，清熱解毒;
軽いと言う事は芳香性とも関係しています。
アロマテラピーですね。
一是辛涼中配以小量辛温之品，且又温而不燥，既利於透邪，又不背辛涼之旨。
「透邪」すなわち外邪を残らず体内から発散する為には涼薬ばかりでは出来ない。
温薬も入れ混ぜて使うのが本方の特徴であると言っています。
方中豆鼓因制法不同而有辛温辛涼之異，
但呉氏於本方后有"衄者，去荊芥、豆鼓”之明文。
在銀翹散去豆鼓加細生地、丹皮、大青叶，倍元参湯的方論中又明確指出:
"去豆鼓，畏其温也。"
所以本方的豆鼓還応作辛温為是。
淡豆鼓(香鼓)は制法(修治)によっては涼薬にも温薬にも、どちらにもなります。
一般的には淡豆鼓は 辛 甘 微苦 寒 と表示されていますが、ここで指摘され
ているのは温薬であると言う事です。
至於用法中"香気大出，即取服，勿過煮。"
此説実為解表剤煎煮火候的通則。
【臨証挙例】
(1)風熱感冒 《広東中医》(1962;5:25):
用銀翹散粗末治療風熱感冒1150例，凡感受風温湿熱，温疫，
冬温等邪気所引起的病，症見微悪風寒，発熱，自汗，頭痛，口渇或不渇而咳，
脉浮数，舌苔白，属風熱型者，均可用本方治療，一般一荊后熱度降低，
2至4天可全愈，平均2.7天。
(2)小児肺炎《湖北中医雑志》(1982;1:55):
用本方加減治療小児肺炎25例，均於3至5天内治癒。
其中2天内退熱者17例，4天内退熱者8例;
湿羅音於3天内消失者9例，5天内消失者16例;
X線胸透者12例，病杜(火土)均在5天内消失。
作者認為本方対屡用抗菌素治療効果不好的肺炎有一定療効。
(3)麻疹初期《中医争鳴》(1958;3:9):
用本方加減治療55例麻疹，平均退熱時間為7.0±0.24天，
而用一般葯物治療的101例為8.41±0.22天。
本方不僅退熱快，且能使透疹過程順利，其他症状的緩解消失也較快。
(4)温病範囲的各種疾病《福建中医葯》(1964;5:16):
運用銀翹散治療温病範囲的各種疾病的初起約100多例
(其中包括急性支気管炎、肺炎、流感、百日咳、腮腺炎、麻疹、水痘、急性喉頭炎等),
其初期共同症状有発熱，頭痛，咳嗽，鼻塞流涕或口干，咽痛等，属外感湿邪，
邪在肺衛者，用本方治療，均取得滿意効果。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今年のインフルエンザ流行に当たっては本方もよく使いました。
咽干か咽痛なら殆どはこの処方で成功しました。
本方と桑菊飲との比較は風毒の差の比較にもなるように思います。
中医学派ばかりがこの処方を使っていて、古方派は余り馴染みではないようです が、派閥を越えて２１世紀の漢方をめざしたいと思います。