406/406   GFB02043  養生堂            久瘧は補に宜し−−−狗肉がお薦め
(13)   95/08/06 09:31

ミン北地区は険しい山々に囲まれ、武夷山脈が境界を成しています。
峡谷は深く、霧の多い湿地です。
山嵐の瘴気のたちこめる所です。
毎年、夏秋の季節には瘧疾疫病が頻発し、一帯に蔓延する事があります。

瘧疾の病因は瘧邪の感染に因りますが、
人体の正気の虚弱もまた密接な関係があります。
臨床で截瘧療法を用いても治らなければ、
正虚のために托邪外出ができない為だと思わなければなりません。
そして別の方法を考えなければなりません。

ある年の夏、趙某を治療した時の事です。
瘧にかかり既に二年経過で、中西医の治療を受けましたが未だに治りきれません。
症状は悪寒・発熱の発作を繰り返し、体力は減退し、
眩暈して臥せったまま、下肢はしびれて冷たく、眠ると痙攣する。
唇に血の気がなく、顔は真っ白。
血液検査ではマラリヤ原虫が陽性である。
病状を推察し、治療法を細かく振り返ってみて、
忽然と悟る所がありました。
患者の瘧が久しく治らないのは気血が耗損し、
正気が日に日に衰えているからだ。
前医が益気・養血・截瘧の治療法を用いても奏功しなかったのは
草木無情のものだったからではなかろうか？
精血を充たすには血肉有情のものの方がずっと効果がある。
そこで狗肉 500ｇに黄耆30、当帰10ｇを水酒各半で煮て、
二日に一回づつ食べさせた。
食療半月にして発作は減り、一月すると食欲は倍増し、
顔色は良くなるし、血液検査ではマラリヤ原虫は陰性化した。
瘧の治療法は取っていないのに瘧は自然に治った。

狗肉は温性で血脈を補い、陽気を増し、精髄を充填し、腸胃を厚くし、
下焦を充実させる。
久瘧で正虚した時の食療補養の佳品で、良い効果が得られる。

私の臨床40年の経験では、
慢性の疾病で正気が衰えた為に、
薬治ばかりでなく食療にも注意をしなければならない時に、
血肉有情の品を用いて後天を補益すると良い効果が得られる。
精血を補養し、陽気を温養するには狗肉はトップに位置するものである。
ただし、狗肉は温性であるから陽盛の体質の者や炎夏の季節、
或いは熱病の後では慎重に用いなければならない。
妊婦には禁忌である。
この他に蒜と一緒に食べてはならない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「南方医話」　肖　熈　より