295/295   GFB02043  養生堂            雲南白葯の由来
( 2)   95/08/12 09:26

雲南白葯は中薬の中の珍宝の一つで、
跌打損傷を治し各種の出血にも有効で、国の内外から好評を得ています。
しかし、白葯の来歴については余り知られていません。
白葯の発明者は雲南省江川県の曲煥章です。
曲は一名また小販と言います。
ある日彼が旧雲南城で商売をしていた時、
突然腹部に激痛を覚え、地面に倒れて意識不明になりました。
当地の著名な草医、姚連鈞が曲の急場を助け、
ついでに彼の病気も徹底的に治してくれました。
この事があってから曲は医薬について深い興味を持ち、
商売もせずに姚を師と仰ぎ、草医の学習に励みました。
師に付いて三年、1905年に曲は故郷に帰って医者の看板を出しました。
民間医薬の験方を広く集め整理した上で、
当地の産物である草薬を利用して臨床実験を繰り返し、
九年の年月の末、1914年にひとつの成薬（現在の白葯）を作り上げました。
当地の大勢の人の跌打損傷や各種の大出血病を治して深く感謝されました。
1916年には曲が作った薬は関係部門の検査を受け、
「百宝丹」と名付けられ、大量生産に入りました。
これにより曲は ｼ真南医界で最も有名な医師となりました。
伝え聞く所によりますと、20年代の初めに雲南の大軍閥、
唐継尭の部隊はある時の戦争で大勢の人が傷つきました。
軍医の治療では効果が少なく、
かなり大勢の傷病兵が曲煥章の門下に治療を求めざるを得なくなりました。
曲先生は「百宝丹」を内服・外用に使い、
大勢の傷病兵の炎症を起こして化膿している傷口を短期間で治し、
益々「百宝丹」の名声を高めました。
抗戦の時期に国民党政府は「百宝丹」の処方内容を得ようとして、
高等法務院の院長、焦易堂に命じて、
前後二度にわたり曲煥章を「国医館」の任務に付けようとしましたが、
いずれも曲からキッパリと拒絶されました。
国民党の反動派は執念深く1937年に曲を縛って重慶まで連れて来て、
硬軟二面から曲に迫って「百宝丹」の処方と製法を言わせようとしました。
1938年の８月に曲煥章は重慶で責め殺されてしまいました。
56歳を一期とした一代の名医の無残な最後です。

新中国成立後、「百宝丹」は生まれ変わりました。
1955年、曲煥章先生の婦人、繆蘭英と子女は家伝の秘方を国家に提出し、
ここから「百宝丹」は「雲南白葯」と改称され、
昆明製薬工場で生産されるようになりました。
敬愛なる周恩来総理は「雲南白葯」に関心を持ち、
1970年に重要指示を出しました。
一、雲南白葯に関する相当規模の生産工場を建立しなければならない。
二、雲南白葯に関する専門の研究機関を建立しなければならない。
三、雲南白葯の原料植物を野生から人工栽培へ移すこと。
周総理の指示に基づき、1971年に昆明に於いて雲南白葯工場が建立されました。
併せて工場内の実験室では白葯の系統的な科学研究と薬用植物の栽培実験が進み、
生産量が大々的にアップしています。

〔参照〕MES.13　#232
　　三七：苦、微甘、温。肝胃（多血の経）の血分薬。
　　　　　此の薬は近時初めて南人より出て軍中で用いられた。
　　　　　止血散於定痛、金瘡杖瘡の聖薬也。受杖の時、先に服しておけば
　　　　　血は心を衝かず、杖後も尤も之を服するに宜し。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1995.6.19.より）