392/392   GFB02043  養生堂            百合（ユリ）の臨床応用
( 2)   96/02/22 09:41

百合の性味は甘、微寒で心・肺経に帰属します。
＜神農本草経＞では「大小便を利し、補中益気する」と述べ、
＜大明本草＞では「安心、定胆、益志、養五臓。
癲邪啼泣・狂叫・驚悸・・・・乳廱発背及び諸種の瘡腫ならびに
産後の血狂暈を治す。」と述べています。
＜本草述＞には「百合の効は益気に利気を兼ねている所にある。
正気を培いつつ更に能く去邪するので李氏は滲利和中の美薬だと
言っている。」となっています。
＜本草求心＞では「心・肺を利し、しかも斂気養心・定神定魂する。」
と言っています。

百合は一味では滋陰養臓薬であり、陰虚内熱の諸症を治し、
著名な古方としては百合知母湯・百合固金湯・百合地黄湯などがあります。
中医学家は肺労久咳・肺燥痰血・温熱病の残余熱・虚煩驚悸・失眠不寝・
神志恍惚・脚気浮腫などに常用しています。

現代医学の研究でも証明している通り、百合は単に良薬であるばかりでなく、
また栄養豊富な食品でもあり、民間では食療として治療と保健の為に
多用されている。

百合の薬理作用は肺動脈の血流量を増加させ、
肺胞の活力をアップして心肺機能を改善し、
併せて止咳平喘作用を来すことである。
葡萄球菌・連鎖球菌・百日咳杆菌・結核杆菌および
ある種の病毒性皮膚真菌に対して殺菌抑制作用がある。

現代医学では以下の様に他薬を配合して疾病に応用している。

１．病毒性心筋炎；百合・麦門冬・黄耆　　　〔益気養心・拮抗病毒〕

２．心悸亢進による虚煩驚悸；百合・酸棗仁・茯神・遠志・琥珀　〔養心安神・定志〕

３．肺結核咳血；百合・白及・猫爪草・阿膠・牡丹皮　　〔滋陰養肺・殺労虫〕

４．肺気腫；百合・山薬・茯苓・黄耆・蛤介　　　〔益気利肺・肺活量の増加〕

５．神経衰弱・失眠心煩；百合・酸棗仁・鈎藤・遠志・当帰　　〔養心安神・除煩〕

６．気管支拡張症の喀血；百合・白及・蛤粉・百部・款冬花　　〔養陰斂肺・止血〕

７．産後の血暈；百合・竜眼肉・当帰・川弓　　　〔養血活血・安神〕

８．慢性萎縮性胃炎；百合・石斛・沙参・鶏内金・海金砂・川楝子・延胡索・白芍
　　　　　　　　　　〔滋陰養胃・泄熱導滞・理気止痛〕

９．膀胱炎で小便不利；百合・半辺蓮・車前子・木通・滑石　〔清熱利湿・解毒〕

10．咽喉炎；百合・玄参・連翹・牛蒡子・射干　　　〔清熱解毒・利咽喉〕

11．皮膚潰瘍で久しく癒えないもの；百合の粉末をゴマ油で練って塗る。
　　　　　　　　　　　〔去腐排膿・生肌収斂〕

　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1995.11.22  より）