349/349   GFB02043  養生堂            誌上相談−−−小児の栄養不良
(13)   94/11/25 19:51

編集の皆様、こんにちは！
私は僻地に住んでいるので仲々医者にかヽれません。
一歳六ヵ月の男の子ですが、生後十二日目に突然高熱を発し、
体温は39.2℃で何度も吐きました。
当地の医院にかヽり、三日後には平熱に戻りました。
だが嘔吐は止まず、乳も飲まず離乳食も食べません。
胃部が膨脹しており、幽門狭窄ではないかと思うのですが、
腹部の検査を頼んでも望みは叶えられず、
ただ吸管で乳水を点滴しているばかりでした。
そうこうしている内に嘔吐の方は幾らか良くなり、
自分で乳を飲むことが出来るようになりました。
ところが六ヵ月目に又腹瀉が始まり、
便は水様の黄緑色で毎日十〜十五回もあります。
元来が弱い所へ更に腹瀉に因って脱水状態になりました。
前後二回で合計五ヵ月の入院生活でやっと退院出来ました。
そして付けられたのが「佝僂病」「貧血」「３度の栄養不良」というレッテルです。

わが子は出生時3400ｇ、月足りての順産で、父母共に壮健でしたが、
この度の退院時は大便は尚溏瀉で、便の中に乳が混じるのが一日四、五回あります。
痩せこけて骨と皮になり、元気は無いし、腹部は脹大で食欲なし。
食べ終わると直ぐに便になり、四肢は氷の様に冷たく、
前頭部は窪み、体重は4500ｇ、血色素は7.9gです。
あらゆる事をやってみましたが、もうどうにもなりません。
何卒良い方法が有りましたら教えて下さいませ。

範祥先生の答え：

こんにちは！　貴方が書いてこられた患児の病状と現在の症候からすると
長期間にわたる嘔吐に因って脾胃の機能が弱まり、
水穀からの栄養源が不足し、気血虚衰となり、四肢百骸・肌肉皮膚が養われず、
栄養失調・貧血・佝僂病などが相次いで現れたようです。
更に又、食べない上に腹瀉し、乳汁も消化できなかったので
脾胃の機能は虚衰し、肌肉は痩せ、元気は困憊し、窓門は下陥し、
腹脹し、肢凍となりました。
睡眠も十分に取れず不安気で、唇は薄く、眼ばかりがギョロつき、髪も薄くなった。
自汗盗汗もいずれ起こるでしょう。

脾胃は「後天の本」と言い、胃は受納・消化を司り、
脾は精微の吸収・輸布を司り、全身を栄養するので生長発育の根本です。
稚幼の体は臓腑の機能も薄く、未だ固まっていません。
中医の弁証によれば貴方の子息は脾胃の虚極に属し、これは疳症です。
本症の治療は大変難しく、今は健脾益気・養胃調中の処方で
症状を緩和するのが良いでしょう。

処方：黄耆・白朮・蓮肉・山薬・太子参・茯苓・肉果・訶子・干姜・沙参・麦芽・石斛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（注）肉果：肉豆寇のこと。
水煎して頻繁に飲む。
　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1994.9.19.より）