494/494   GFB02043  養生堂            過敏性鼻炎の一治法
(13)   96/03/06 09:50

王さんは三年前から鼻塞流涕にクシャミと涙が止まらなくて、
長い間これを繰り返しているうちに段々体力も落ちて来た。
病院では過敏性鼻炎だと言われ、色々やってみたけれど効果がなかった。
私はこれに蘇合香丸を３丸用いただけで治ってしまった。

又別に本病院の何さんですが、元々灯油や漆に対して過敏症だったのが、
ある時それに触れたのか鼻が塞がり、涙が出て欠伸が止まらなくなった。
私は亦蘇合香丸を１丸飲ませただけで治った。
それ以来彼はいつも蘇合香丸を携帯するようにし、
発病を予防している。

中医では鼻炎を寒熱虚実に分けており、
鼻淵で濁涕を流すのを風熱を受けたものとし、
鼻鼻九（びき）で清涕を流すのを風寒を受けたものとしている。
方書には記載がないけれどもこの方は温中行気・清脳の功能があり、
鼻鼻九即ち過敏性鼻炎に大変有効である。
本方中の蘇合香・沈香・麝香・白檀香・丁香・乳香・青木香・安息香・香附子・氷片
の十種の薬味は芳香開竅・行気解鬱・散寒化濁する。
畢拔は諸薬に配合されて散寒・止痛・開鬱の力を増強する。
犀角は解毒し、朱砂は鎮静し、白朮は健脾化濁し、
訶子は温渋収斂して痰涎を化す。

また別に鼻は肺の竅であるからその病の多くは肺気虚から始まる。
そこへ重ねて風寒や穢濁の気に感じて肺竅を閉塞し肺気不宣となり、
衛外の機能は減弱化しているので感冒傷風の症にかかり易くなっている訳である。
主要な病機は風寒穢濁の気が肺竅を閉塞したものであるから
蘇合香丸で芳香避穢・開竅するから病は癒えるのである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「北方医話」　奚忠貞　より