510/510   GFB02043  養生堂            黄褐斑
(13)   96/03/22 11:17

黄褐斑は顔に生ずる皮膚病の一つでよく青壮年の女性や
妊娠期の婦人に多く見られる。
西医では内分泌ホルモンの異常が主要な原因の一つと見做している。
他にも肝臓疾患、結核、腫瘤、大腸ポリープ、脳炎などある種の
器質性の病気が原因となることもある。
中医では黄褐斑は情志の変調、肝気鬱結、脾土の労傷、
血弱で痰飲漬臓となったもの、気血不和および腎精受損で陰虚火旺となった者が
この病になりやすいと考えている。

中医の弁証論治の方法は、肝脾不和に属する者には舒肝理脾を主とし、
逍遙散加減を用いる。
経血不調があれば　＋牡丹皮・益母草
乳房脹痛の者には　＋青皮・橘葉

脾土の労傷者には四君子湯か苓桂朮甘湯加減を用いる。
便溏者には　　　　　　　＋猥姜・山薬
腹脹・食欲不振の者には　＋陳皮・砂仁

腎水不足に属する者には滋陰補腎とし、六味地黄湯加減を用いる。
陰虚火旺の者には　　　＋知母・黄柏
盗汗遺精の者には　　　＋金桜子・欠実
失眠多夢を伴う者には　＋竜骨・牡蠣

この病はなかなか治り難いので筆者は民間治療も参考にしている。
●柿葉去斑膏：適当な量の柿の葉を粉末にして溶かしたワセリンに混ぜて
　　　　　　　軟膏にする。１日３回、患部に塗る。
報道によれば４７例の患者を治療して（45ｇの軟膏を使って）、
黄褐斑が消えた者　20.2％、軽減した者　68％　だった。

●玉白膏：白及・白檀・白附子 6　白斂・白丁香 4.5　密陀僧 3　　（細末）
　　　　　少量を取って卵の白身と合わせて、夜寝る前に患部に塗って
　　　　　翌朝洗い去る。
本方は先祖伝来の秘方で、２０例を治療して比較的良い結果が得られた。
一般に一ヵ月以内で効果がある。

●菟絲去斑湯（菟絲子・生地・熟地15　女貞子・何首烏12  旱蓮草・白芍・当帰10
　　　　　　　阿膠・枸杞子 9）
報道によれば本方を服して１５剤後には黄褐斑の軽減あるいは消失が見られる。

●化斑湯（珍珠母20  茵陳・夏枯草・六月雪・茯苓12　生甘草 3
　　　　　白僵蚕・白菊花・絲瓜絡・赤芍・白芍 9）
本方は効果が迅速な方剤で一般に服薬後２０日で効果を現し始め、
一旦効果が出始めたら服薬を続ければ必ず治癒に至る。

●摩擦法：白僵蚕・白及・白斂・白附子・天花粉・緑豆・白止30
　　　　　甘松・山奈・香茅草15　　（細末）
毎日朝晩この粉末で患部をこする。これも良い方法である。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1996.2.9. より）