547/547   GFB02043  養生堂            耳聾新解
(13)   96/05/28 09:20  388へのコメント

耳聾の弁治には先ず虚実を分けなければならない。
暴病には実が多く、久病には虚が多く、
少壮の熱盛者には実が多く、老年の正衰者には虚が多い。
実証とは耳竅の脳へ通ずる路が邪によって阻まれ、
気血が閉塞不通になっているから行気活血すべきで、
これが通れば耳が聞こえるようになる。
私は『医林改錯』の通気散（柴胡・香附子 2　川弓 1）を愛用している。
若し気鬱血於がひどければ通竅活血湯を併用する。
虚証とは脳気と耳竅の気がつながらず、気血が上を涵養できないので
補気活血のように通補を兼ねなければならない。
経に曰く「腎が和すれば耳は能く五音を聞く。」
精とは気から生まれるもの、補気すれば能く精を生ず。
私はよく補中益気湯に川弓・葛根・路々通などの活血通竅の品を加えて用いる。
諸薬が揃って気血は空竅を上養させ、耳聾が癒える。

張某、男、１２歳。勉強に疲れて水遊びをしていたら突然、耳聾になった。
左の耳がよりひどくて頭暈頭痛もあり、夜にはいろんな夢を見る。
舌紅で苔は薄白、脈は小弦。
気血が鬱結して耳竅が阻塞した証である。

　桃仁・紅花 9　川弓・赤芍・生姜・老葱 3　柴胡・香附子 6　麝香

を３剤服薬したら耳聾が治った。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1996.4.10 より）