549/549   GFB02043  養生堂            柴平湯の新しい用途
(13)   96/05/30 08:51

　柴平湯は『景岳全書』に初めて出て来ます。
本来は湿瘧を治療する主方であったが、
現在では胃腸炎で脾胃に湿阻がある者の治療に用いられている。
私は数年来これを急・慢性胆嚢炎、胆石症、胃痙攣、腸捻転、肝硬変の腹水症
などの急腹症の治療に用いて良い効果を上げている。

　柴胡・黄岑・半夏・人参・蒼朮・厚朴・陳皮・甘草

少陽を和解し、去湿和胃の功能がある。


例１．　朱××、男、45歳の購買員。1993年12月に胃痙攣を起こし、
疼痛耐え難く、胃（月完）は脹悶し、悪心嘔吐がある。
私は上方−人参＋木香・莱服子・大白などの行気止痛の品を配伍して十剤で癒えた。

例２．　王××、男、38歳。虫垂炎の手術後、腸捻転を起こした。
1993年８月の診察では腹満脹痛し、食欲がなく、悪心嘔吐、大便不通、
舌紅で苔は黄膩、脈は滑で緊、湿滞脾胃・府気不通の証である。
そこで上方−人参＋紅花・赤芍・枳殻・大白・大腹皮・大黄・莱服子・蒲公英・連翹
として活血去於・健脾理気・消廱排膿を図ったら６剤で癒えた。

例３．　張××、女、57歳、農民。肝硬変を患って一年余りになる。
1995年５月、過労が元で（月完）腹脹満・黙々として飲むを欲せず・
精神倦怠・肢体沈重・エコーでは大量の腹水があり、肝臓は萎縮している。
舌紅で苔は黄膩、脈は弦滑である。
そこで上方−人参＋大白・大腹皮・商陸・茯苓・麦芽・車前子などの
健脾利湿・消導の品を配伍して４剤で症状が改善し、
７剤で腹水が減少し始めた。


柴平湯は小柴胡湯合平胃散から成り、小柴胡湯は少陽病の要方であり、
平胃散は湿困脾胃・脾胃失和を治療する常用方である。
合方すれば（月完）腹脹満・黙々として飲むを欲せず・心煩してしばしば嘔吐・
噫気して酸水を吐く者を治療することが出来る。

　（注）大白＝檳榔子
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1996.4.17 より）