319/319   GFB02043  養生堂            中国の新聞から (4)
(14)   94/05/31 09:23

　　−−−運気学説から見た今年の病気占い−−−

中国の「甲子」年号から見ると、今年は「甲戌」の年である。
十干の配列では甲は奇数の第１位の陽干である。
戌は地支の第11位で、これも奇数の陽支である。
甲戌の年は　　天干は　甲という　陽干
　　　　　　　地支は　戌という　陽支
の組み合わせからなり、「土」が主運の歳である。
＜素問・五行大論＞には「中央は湿を生じ、湿は土を生じ、土は甘を生ず。
　　　　　　　　　　　　天に在りては湿、地に在りては土、（略）　　」
とあり、土は中央の長夏を主る。長夏は一年の転換の時期である。
長夏とは大暑から白露までで、今年の大暑は７／２３に始まり、白露は９／８に始まる。
「五運」に依れば土運大過の年で、「六気」に依れば
「司天」は太陽の寒水に属し、「在泉」は太陰の湿土で、主気は太陰の湿土に属する。
しかも長夏の客気は厥陰の風木に属する。
＜素問・気交変大論＞には「歳土が大過なれば雨湿が流行する」とあり、
そこへ厥陰の風木が又来るので今年の気候は多雨多風の特徴がある。

（１）土運大過の年は長夏の季節には雨水が多く、多すぎれば作物の成長が悪くなる。
　　　土が大過なれば勝復の原理で水に乗じ、必ず木が来復する。
　　　この為に穀類と木類の果肉果菜は出来が悪い。

（２）土運大過の年の人体の疾病は、経絡でいえば足の太陰脾経及び
　　　足の陽明胃経の２経に出る。
　　　臓腑でいえば脾腎２臓の疾病となる。
　　　脾病は肝を侮るので肝臓の疾病にもなる。
　　　風と人体の肝気とは相対するので、風気が偏勝の時は人体の肝気もまた偏勝となる
　　　そして肝盛んなれば脾に乗ずることになる。
　　　「大風迅速なれば邪は傷脾する」という訳である。

湿は「六淫」の邪で性は重濁、陰邪であり、気機を阻遏しやすく陽気を損傷する。
又その性は粘滞だから病は長引き、下へ流れる性質から陰位に及びやすい。

湿症の治法には歴代の医家が累積した貴重な経験がある。
李時珍は「風薬は湿に勝つ」と言っているから、若し湿が関節に流れて腫痛したり、
湿が肌肉に在って身重となった場合は防風・羌活などを用いれば良い。
「燥薬は湿を除く」と言っているから、蒼朮・黄連・黄柏などで瀉痢を治せば良い。
「淡薬は滲湿する」と言っているから、赤小豆・茯苓・玉米鬚・通草などで
水腫を治せば良い。
「小便を出せば湿が動き」
「大便を出せば湿が追われ」
「痰涎を吐けば湿が去る」
「苦寒は燥湿する」
「芳香は化湿する」などと治法は多岐にわたる。

今年の病気の主邪は湿邪だから各方面におかれましてはご用心されたい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1994.4.4　より）