320/320   GFB02043  養生堂            中国の新聞から (13)  名医会診
(13)   94/08/05 15:54

某男、59歳。初診時、患者は一月も前から喉が痒くて鮮血を吐いていた。
彼が言うには五年前から繰り返しているのだが、
特に早朝と深夜に酷くて、咳も痰も無く、胸も痛くなく、
腰と足はだるく、面はやや火照っている。
手足の心が熱くなり、脈は細弱で無力、舌質は嫩で紅、苔は薄白。
胸の検査の結果は気管支拡張症で、喉科の検査では異常が認められない。
筆者は肺腎の陰虧で虚火が上炎して肺絡を灼傷したと診断して、
百合固金湯＋止血薬を与え固金・潤肺・止血を図った。
もう半月になり患者の喀血は一時減少したが治った訳ではない。
李輔仁教授の会診をお願いします。　　　　　　　　　　劉毅

李輔仁教授の会診：葉天士の＜臨床指南医案＞によれば
喉痒の一症は虚実の性を計り、上焦下焦の位置を調べなければならない。
喉痒と喀血の二症は臨床上沢山見られるが、外感だけが原因ではない。
臨床表現と脈と苔を詳細に弁別しなければならない。
本例の患者は腰酸腿軟、喀血喉痒、脈細弱無力、
且つ喀血の時間は大抵早朝と深夜である。これは下焦の病である。
面が僅かに洪熱しているのは陽が潜蔵しないのである。
手足の心熱はまさに陰虚の候である。
即ち肝腎の陰虧で水が木を涵養せず、肝陽は上に騒ぎ、木火刑金となる。
治療には滋腎培肝・滋水涵木し、以て潤肺止血を図らねばならない。

　処方：生地・山薬・茯苓・牡丹皮・女貞子・山茱萸・玄参・麦冬・沢瀉・花芯石

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1994.6.24.より）