189/189   GFB02043  養生堂            薬便−−−糞便薬
( 2)   94/11/15 09:36

　　　　−−−−−−糞便類中薬の現状−−−−−−

糞便類の中には薬用に供される物が幾つかある。
人糞便では−−−人尿、人中白、金汁。
動物便では−−−五霊脂、蚕砂、夜明砂、鶏矢白、望月砂、草霊脂、白丁香、両頭尖。
　　　　　　　　（１）　（２）（３）　（４）　（５）　（６）　（７）　（８）
糞便の加工品では−−−人中黄、秋石。
これらは一定の効果があり毒性や副作用も少ないと、
未だに少数ながら愛用する医師もいる。

注　（１）大蝙蝠の糞　　　　　　　　　　（４）鶏糞の白い部分
　　（２）蚕の糞　　　　　　　　　　　　（５）野兎の糞
　　（３）菊頭蝙蝠の糞　　　　　　　　　（６）（７）（８）不明？

歴史上、最も早い記録は＜内経＞の鶏矢醴による膨脹の治療である。
最も広範囲に使用されるのは＜開宝本草＞に載ったのが最初の五霊脂で、
＜和剤局方＞で立方された「失笑散」である。

過去に多くの貢献をしてきたとはいえ、これらは糞便というイメージの欠陥の為、
現在の＜中華人民共和国薬典＞90版中、収載されているのは
五霊脂一薬、失笑散一方だけである。
“付録”の中には蚕砂、夜明砂の名はあるが、効用主治については言及されていない。
現在頒布されている＜中華人民共和国薬品標準・中薬成方製剤＞の第１〜９冊中に
収載されているのは1870種で、その中に含まれる糞便類中薬は僅かに41方である。
即ち五霊脂30方、蚕砂５方、人中白３方、夜明砂２方、秋石１方である。
特記すべきは嚢虫丸の方中で五霊脂が用いられているが、
これには五霊脂の流浸膏を用い、原材料は使っていない。
いわば糞便類中薬の使用上の進歩である。

内服、外用いずれにせよ糞便を薬用とするには患者の心理や衛生水準から言っても
何らかの加工処理が必要である。
たとへ望月砂、夜明砂、金汁などといくら綺麗な名前を付けても
一旦患者の知るところとなれば心理的な負担は大きく、終いには
怒りを買うことにもなりかねない。

またこれらの物にに含まれる成分量もハッキリしていない。
例えば五霊脂は夏秋に採集したのを散霊脂、冬春に採集したのを糖霊脂と
呼んでいるが成分含量は違うし、当然効能にも差がある。
このように定量的な規格化は困難である・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　（中国中医薬報　1994.9.16.より）