392/392   GFB02043  養生堂            焼酎で喉痛を治す
(13)   95/07/27 16:35

20年前、同僚の曽君と出張に出ました。
季節は初春で余寒が尚も強く、曽君は寒邪に感じて喉が痛くなり私が診ました。
喉を診ても赤くありません。
口は淡で舌苔は薄白、脈は弦緊です。
出張中の事とて服薬するのに不便だったので専ら飲酒治療を勧めました。
彼は幾らか医学の知識があったので言うには、
「喉痛の治療には大抵、金銀花・連翹・射干・桔梗・玄参・板蘭根の類を
使うものなのに、焼酎を用いるとは火に油を注ぐ事にならないか」と。
私は笑って答えました。
「咽喉の疼痛には熱証もあれば寒証もある。
熱証は比較的多いけれど寒証も少なくはない。
むしろ感寒の初期には寒証の方が多い。
中医の診病は弁証が第一議です。
寒には熱を、熱には凉を、初めに一ミリ間違えると先へ行って千里の間違いになる。
いま君の喉は赤くない。
これは寒邪が会厭に鬱しているのであり、温邪上犯の証ではない。
焼酎は能く寒邪を散ずるから君に勧めているのです。」
彼は私の言葉に同意して芋焼酎 100mlを飲みました。
そして翌日には喉痛は治っていました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「南方医話」　趙　○　より