393/393   GFB02043  養生堂            上桂で牙痛を治す
(13)   95/07/28 10:48

俗説にも「牙痛は小病といえども痛いのは我慢できない」と言います。
その病因には風熱外感から発するもの、
胃火上擾によるもの、陰虚火旺によるもの等があります。
後の二つが多く、臨床では瀉心湯・清胃散・玉女煎が多用される。
鍾姓の患者、陽虚の体質で過労により牙痛が起こった。
自分では牙痛は大抵、熱症で陽明の胃火と風熱が相搏つものだと知っているので
牛黄解毒丸を買ってきて飲んだ。
初め痛みは軽減したが、やがて又痛みだした。
私の所へ治療を求めてきた時、
上牙痛なら足の陽明、下牙痛なら手の陽明に属すると言う認識があった事と、
また別に過去の他の病人の牙痛治療に、
内熱があれば　玉女煎＋細辛　を使って陽明を清透し、
竄透開塞すれば牙痛は直ぐに止まった事があったので
この人にも同じように玉女煎を与えたのですが無効でした。
そこでもっと詳しく病因を考察して、
陽虚の体で過労から発し、牙痛が綿々として続いており、
冷水を口に含むと痛くなり、
熱水を含むと緩むというのは胃熱の症ではなく、
陽虚のせいであるから肉桂 5ｇを飲ませることにした。
するとその晩から安眠でき、翌朝には痛みが止まっていた。
 5ｇづつ続服して再発はしていない。

これは病者が陽虚の体質で、腎陽不足の為に虚陽が上越し、
腎火が浮上して牙痛となったものである。
上肉桂で腎陽を温め、引火帰元したため有効であった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「南方医話」　于昌貴　より