395/395   GFB02043  養生堂            華陀癒風散
(13)   95/07/29 09:39

華陀癒風散は黒荊芥と酒淋豆の両味から成る。
主治は産後の中風口噤や産後の血昏不省である。
李時珍は「この方は色々な書物の中で妙功が称えられている」と言っている。
私は淋豆の代わりに酒炒黒豆を用い、適当な中薬を配合して、
産後血虚の受風頭痛及び産後の敗血上冲の諸症を治療して効果を上げている。

ある婦人が風を受けて頭痛になり、かれこれ13年になる。
これも若い時のこと、産後20日で風邪を引いてからなった頭痛で、
額からてっぺん迄ひきつれる様な痛みがある。
その後、風に会う度に痛くなる。
西医の診断では神経血管性頭痛であった。
私が診察したところ、患者には頭痛の他に、
ちょっと油っこい物を食べると直ぐに腸鳴下痢し、
生冷の物を食べると顔が浮腫むことがある。
脈を診れば細弱、舌は淡紅、苔は薄白である。
これは産後の気血虚虧・衛陽不固から風寒が虚に乗じて入り、
血と相搏ち、＊於結を形成し、
痼疾となった為に頭痛は纏綿と治らないのだ。
病は血虚頭痛に属すから治療法は
養血・駆風・散＊於としなければならない。
風が去り、＊於が消えれば頭痛はしなくなる。
処方として癒風散に当帰・川弓・白芍・茯苓・白朮を加えて
三剤を服したら症状は基本的に無くなった。
半年後の冬に訪ねてみたが再発はしていなかった。

又別の女性で産後の傷風で口渇多汗・畏冷発熱があった。
前医は玉屏風散＋黒荊芥を与えた。
薬を飲んだ日から悪露が出なくなり、
小腹は疼痛し、急に腹脹、腹痛、気喘して胸が詰まり、仰向けになれなくなった。
私が行ってみて、これは産後の悪露がまだ出尽くしていないのに、
間違って黄耆を用いて提気固表したので悪露が中に止まり、
血が気に従って上がり、敗血が肺胃に上冲してしまった。
私は　癒風散＋当帰・川弓・山査子・沢蘭・香附子・陳皮
で以て理気・活血・去＊於を図った。
一剤で又悪露が出始め、腹脹は消え、気喘も平静になった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「南方医話」　陳雨蒼　より