401/402   GFB02043  養生堂            五倍子と蛋白尿
(13)   95/08/04 09:39

＜上海老中医経験選編＞で茹十眉先生は五倍子粉 0.3ｇをカプセルに入れ、
一回一粒、一日三回で腎病綜合症患者の蛋白尿を無くした事を紹介しています。
筆者もこの方法で頑固な蛋白尿を治療した例があります。

卓某、男、19歳、学生。
患者は六ヵ月前から浮腫みと蛋白尿（++〜+++)が現れ、
某医院で腎病綜合症と診断されました。
デキサメタゾンの治療で好転していましたが、
体型にクッシング症候群様の変化が出、紫紋が増えて来ました。
そこで副腎皮質ホルモンを減量したら又病気は元に戻ってしまいました。
患者はもうホルモン剤を飲もうとはせず、
1984年 6月13日に私の中医病院へ治療を求めて来ました。

先ず清利湿熱法で治療し、湿熱が一度去ってから
健脾固腎法に改めて治療しました。

処方：黄耆・党参・山薬・茯苓・仙茅・仙霊脾・
　　　覆盆子・欠実・金桜子・沢蘭・蝉衣・白花蛇舌草

上方を六ヵ月余り服用しましたが蛋白尿はずーっと（++〜+++)です。
患者はそれでもホルモン剤を飲むのを嫌がります。

同年の10月18日、上方に五倍子カプセル一粒（ 0.3ｇ）、
一日三回服用を加えました。
10月22日には蛋白尿（＋）に減り、10月25日には蛋白尿は消失しました。
四ヵ月後も蛋白尿はずーっと陰性で、現在は仕事をしています。

按：この例の後で筆者は健脾固腎の中薬湯剤に
五倍子カプセル一粒、一日三回を加えて、
更にプレドニソン30mg／日として治療した同病の患者(++++)は
一ヵ月半の治療で蛋白尿は陰転し、ホルモン剤を減量しても大丈夫で、
また五倍子による副作用も出ておりません。
五倍子は蛋白尿を消すのに良い効果があり、併用できます。
五倍子の主要作用は固腎ですから、
純粋な虚症で邪気が無い時でないと利用されません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「南方医話」　談発建　より